え~、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ワタクシ、98Kさんと
同い年であります。そうです、結構な歳です。困ったわっ、98Kさん、ごめんなさい。

この歳になると、「小言こうべい」になりやすく、ワタクシなんぞも周囲の
若い人にぶつぶつと小言を言って、嫌われております。

特に言葉遣い。

いえ、「敬語」なんてのは、ちゃんと使えなくったって別にかまやしませんのです。
使うべきときに「です、ます」がちゃんと使えれば、最低限の敬意は伝わると
思っております。

気になるのが、私らの世代からすると「奇妙」に聞こえる表現なんですね。
「ちょー」とか「むかつく」とかではありません。これは「受け」を狙った
崩し方であり、もう市民権も得ている表現だと思います。
ワタクシも使っております。

さて、「若者の言葉遣いに目くじら立てるおっさん」というのは、若い人から見ると
煙たい存在なんでしょうね。ま、必要悪と思ってください。

言葉は常に変化し続けるものですね。しかし、その変化があまりに急速だったり
変化が大きすぎたりすると、世代によって使う言葉がずれてしまいますね。
そうなると、世代間のコミュニケーションが難しくなります。そんなもん、必要ない
という向きもあるかもしれませんが。

ですから、言葉遣いにぶつぶつ言うおっさんてのは、その変化をあまり
劇的にさせないための、「ブレーキ」みたいなもんだと思います。たしかに
うるさいでしょうが、「必要悪」と思って、許していただきたいものです。

で、やっと本題。

気になる実例その1。

下の子の、小学校卒業アルバムの寄せ書き。
「ぼくはサッカーが好きです。なので、中学ではサッカー部に入りたいです。
あと、勉強とかもがんばりたいです。」

下線部は、話し言葉、それもかなりくだけた話し言葉で、文章には使うべき
ではない、というのがワタクシどもの世代の感覚です。でも、「なので」などは
大人にも広まっていて、ご丁寧に「ですので」という人もいらっしゃいますね。
もう市民権を得ているとみるべきなのでしょうか。

実例その2

(プロ野球の新人選手のインタビュー)

「優勝目指してがんばるので、応援よろしくお願いします。」

これは一種の定型文みたいなものらしく、非常によく耳にするのですが、
やはり違和感が強いです。
おそらく、おっさん達の会話文、「ちょっと外回りに出てきますんで、
あとよろしくお願いします。」のような言い方を、彼らなりに応用して
丁寧に言おうとした結果だとおもうのですが。

まず、「で」の多用が耳障り。スポーツ選手に多いんですけど・・・・。
「プロで通用するかわからないので、でも精一杯やるので、・・・・」
うううっ、いらいら・・・・。
で、「で」をとります。

「優勝目指して、がんばります。応援よろしくおねがいします。」

こっちのほうがずっとすっきりしていると思いませんか。
つぎに、「よろしくお願いします」。これはおっさんの「なあなあ」定型文で
強くアピールするのにふさわしい言葉ではないですよね。

「優勝目指してがんばります。応援してください!」

う~ん、応援したくなっちゃう、おじさん。



最後にもう一つだけ。

高校生らしい少年達のインタビュー。

「何か部活やってる?」

「サッカー部です。」

「へえ、強いの?」

「あ、いちおう、県大会優勝です。」


この「いちおう」が気に入らない。

日本語には「ぼかす言葉」があって、謙遜や遠慮、諧謔などの意味で
使いますね。

「お茶などいかがですか。」

「そろそろ休憩でもとるか。」

「え~、おれなんか、いいっすよ。」

「いちおう」もその仲間。

「いちおう、やっておくか。」


ぼかす言葉」の濫用は最近の傾向のようですね。

「お水のほう、お持ちしました。」

それ自体耳障りなのですが、使い方がぶれるとまずいことになります。
最初の少年の「いちおう」も、謙遜なのか、尊大な自慢なのかわからない。


「ぼかす言葉」は、重要性の低いことや、「負のイメージ」の
強いことにつけて使うのが普通。そうでない場合は、遠慮や謙遜に
なります。

例えば、社長

「今日は、ちょっと飲みにでもいくか。」

とは言いますが、

「今日は、ボーナスでも支給しよう。」

とは、普通言わない。


「結婚でもしようか。」

などといったら、大変不都合なことになると思います。

で、これらの言葉を「自慢できること」などに使うと
嫌味な感じや尊大な感じが出るんですね。

「ウチの息子ですが、東大でも受けようと思っておりますのよ。」


「いちおう」の例。

「広いお庭ですねえ。」

「いちおう五千坪ほどですかな、わっはっは。」

というわけで、先の少年、その辺をわかっていて、「いちおう」謙遜する
ふりをしながら「優勝」を自慢しているんだとしたら、たいしたもんです。
おじさん、尊敬しちゃう。


駄文、長文にもかかわらず、ここまでお読み頂き、ありがとうございます。

唐突ですが、ワタクシ、島に参ります。
このように、手に負えない年寄りですが、お集まりのお若い皆様、
山奥に捨てたり、船で流したりしないでくださいませ。ハート